精神医療におけるノーマライゼーション

うつ病をはじめとした精神疾患は、「完治」や「治癒」といったレベルまでに相当な時間を要することが少なくありません。

うつ病に限らず、風邪やがんなど、病気の最終的なゴールは、完治や治癒といった言葉で表現されるレベルの状態ですが、特に精神疾患の場合、慢性化したり再発したりすることもあり、病気を抱えながらも生きていくことを当面の目標にした方が、現実的なのかもしれません。

うつ病に対する偏見の目」でも書きましたが、精神疾患を抱える人は、多くの場合、常に何となく「生きづらさ」を感じていると思います。周りの目が、気になってしょうがないのです。

そこで、病気や障害を抱えていても、「普通に」生活を送れるような社会が強く求められます。これを「ノーマライゼーション」といい、この考え方に基づく運動や施策が1960年代に北欧から始まったといわれています。

ノーマライゼーションはもともと、精神障害者を特別視したり、特別扱いするのではなく、平等に扱われ、しかも一般の社会で普通の生活が送れることを目指す考え方を意味していましたが、現代では、障害者対策一般に広がり、社会福祉の基本的な理念のひとつとなっています。

精神医療におけるノーマライゼーションの実現に向けては、精神疾患の治療法の開発と共に、「生活」という視点から、復職・就労やリハビリといった支援施策の強化が重要であると考えられています。

しかし、精神障害者を受け入れ、ノーマライゼーションの実現に向けた社会的な壁は、非常に高く厚いのが現実です。

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(2009年7月24日掲載)
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