ストレスとホメオスタシス

ストレスとは、本来は物理学で使われている用語で、物体に加わった外力と物体の反発力によって生じる歪みのことをいいます。

これを人間の体に当てはめて独自の学説「ストレス学説」を発表したのが、カナダの生理学者セリエ博士です。博士は、人間の体がストレスに対してどのように反応していくかを時間の経過を追って研究し、「3段階説」を発表しました。

第1期【警告反応期】
これは何の備えもない時に、突然ストレスにさらされた時に示す反応です。突然ストレスにさらされるために、血圧や体温、血糖値が下がり、胃も貧血になるために胃・十二指腸潰瘍などが現れたりします。

第2期【抵抗期】
さらにストレスが持続すると、体はストレスに対して体の機能を活発化させて抵抗します。交感神経が活発化しアドレナリンなどの物質が放出され、血圧や心拍数などが上昇します。疲労感が興奮に変わったり、逆に脱力感に襲われることもある時期です。

第3期【疲憊期(ひはいき)】
抵抗期以上にストレスが強すぎたり長期間にわたると、抵抗力が弱まり消耗してしまうのがこの疲憊期です。血圧や体温、血糖値が同時に下がり、副腎皮質の機能も低下します。

ホメオスタシスとは、ストレスとなりうる外的・内的な環境変化に対して、人間の体を安定した恒常的状態に保とうとする仕組みのことを意味し、「生体恒常性」ともいわれます。代表例としては、体温調節があげられます。具体的には、冬の寒い日には体温を上げようとし、夏の暑い日には汗をかいて体温を下げようとする機能です。ちなみに、ホメオスタシスという用語は、米国の生理学者のキャノンによる造語です。

ホメオスタシスは、主として自律神経系による神経性の調節と、ホルモンによる体液性の調節があります。

なお、ホメオスタシスは、自律神経失調症と非常に深い関係があります。強いストレスを受け続けることにより、自律神経の機能がバランスを失い、ホメオスタシスに異常が生じた病気が自律神経失調症です。

ホメオスタシスの異常によって引き起こされる自律神経失調症の症状は、実にさまざまです。自律神経失調症の典型的な症状としては、頭痛や肩こり、動悸、息切れ、胸の圧迫感、倦怠感、疲れやすいなどの身体的な症状のほか、気分の落ち込みや不安感など精神的な症状もあげられます。

(2009年11月22日掲載)
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