抗精神病薬と高プロラクチン血症の関係解明

放射線医学総合研究所(放医研)は2010年2月23日付プレスリリースで、PET(陽電子放射断層撮影)技術を駆使して、統合失調症の治療に用いられる抗精神病薬の副作用メカニズムを、世界で初めてイメージ画像として捉えたことを発表しています。

抗精神病薬の主な副作用の一つに高プロラクチン血症があり、乳汁分泌、無月経、排卵抑制などを引き起こし、長期的には骨粗しょう症や乳がん発症リスクを増加させることが指摘されています。

放医研は今回、抗精神病薬が脳内物質ドーパミンの受け手となるD2とよばれる受容体を遮断することを、イメージ画像で捉えることに成功しています。このドーパミンD2受容体が遮断されるために、プロラクチンが異常分泌され、高プロラクチン血症が発症すると考えられています。

また、抗精神病薬が脳血液関門を通過しやすいか否かで、高プロラクチン血症の発症リスクが変動することが明らかにされています。脳内の薬物濃度が低い抗精神病薬(スルピリドなど)は、脳内に入りにくく、そのため必要以上にドーパミンD2受容体に影響を与え続け、高プロラクチン血症の発症リスクを高めるといいます。逆に、脳内の薬物濃度が高い抗精神病薬(オランザピンやハロペリドールなど)は、脳内に入りやすいため、ドーパミンD2受容体への影響は少なく、高プロラクチン血症の発症リスクも比較的低いといいます。

放医研の今回の研究成果は、抗精神病薬の副作用を回避しながら統合失調症を治療するうえで、臨床現場において役立つものと期待されています。

(2010年3月25日掲載)
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