精神疾患の発病メカニズム

精神疾患の発病メカニズム

うつ病統合失調症をはじめとする精神疾患の発病メカニズムを説明する仮説(モデル)として、「脆弱性−ストレス・モデル」が広く知られています。

「脆弱性−ストレス・モデル」においては、素因的に(生まれつき)精神疾患を発病しやすい(脆弱性を持つ)個人を前提に置きます。その個人がストレスを受け続けるうちに、脆弱性とストレスの相互作用が発病に抵抗する勢力を上回ると、そこで発病すると考える仮説です。なお、ここでいう脆弱性とは、素因的に存在している脳機能の偏りの結果として生じる心理機能の偏りと理解されています。

「脆弱性−ストレス・モデル」で説明される脆弱性が素因的だとすれば、なぜ生後かなりの年月が経過してから発病するのか?

これについては、いくつかの理由が考えられています。たとえば、精神疾患を発病するためには脳がある程度まで発育している必要がある、自我意識などある程度の心理的な発達が必要である、脆弱性とストレスの相互作用が発病抵抗勢力を上回るまでに時間がかかる、といったものがあげられます。

「脆弱性−ストレス・モデル」に基づくならば、薬物治療を行ったとしても、脆弱性は変えることができず、したがって、薬物治療は根本的な治療にはなり得ないのではないか?

うつ病には抗うつ薬、統合失調症には抗精神病薬が用いられます。医学界でも実際、これらの治療薬により症状が軽減されることはあるとしても、脆弱性を変えられるとは考えられていません。治療の中断により、再発する例が非常に多いという現実もあります。

ここで、脳は、他の臓器とは比べものにならないくらい抜群の学習能力や記憶能力を持った臓器であることに思いを致す必要があります。

薬物治療では、脳機能の偏り、それによる心理機能の偏りを、根本的に修正することはできません。しかし、時間をかけて努力を続ければ、再発に至る不安定な思考・行動パターンを安定した思考・行動パターンに修正することは、脳の能力から考えて十分に可能であると同時に、再発防止、寛解維持についても十分に可能であるといえるのです。

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