厚生労働省におけるうつ病対策

厚生労働省におけるうつ病対策

厚生労働省は2010(平成22)年5月28日付で、「誰もが安心して生きられる、温かい社会づくりを目指して〜厚生労働省における自殺・うつ病等への対策〜」と題するレポートを発表しています。厚労省自殺・うつ病対策プロジェクトチームが、取りまとめています。

レポートでは冒頭、日本の自殺率の高さを次のように紹介しています。

我が国の自殺者数が平成21年に32,845人となり、平成10年以来12年連続で3万人を超える深刻な事態となっている。先進7か国の中では、我が国の自殺率は最も高く、15歳から34歳までの若い世代の死因で自殺がトップなのは我が国のみである。


自殺の実態については、いくつかの視点から取りまとめられていますが、なかでも、無職男性の自殺死亡率の高さが目を引きます。無職男性35歳から54歳までの自殺死亡率は、有職者の5倍。さらに、配偶者と離別した無職男性の自殺死亡率は、有配偶・有職者の実に20倍となっています。レポートにおいても、アプローチ手段の充実の必要性が訴えられています。

今後の対策についてレポートでは、次の5つを柱として重点的な対策を講じるとしています。なお、「ゲートキーパー」(Gatekeeper)とは門番のことで、ここでは、自殺のサインに気づき相談支援などにつなぐ役割を担う人を意味します。

  1. 普及啓発の重点的実施
  2. ゲートキーパー機能の充実と地域連携体制の構築
  3. 職場におけるメンタルヘルス対策・職場復帰支援の充実
  4. アウトリーチ(訪問支援)の充実
  5. 精神保健医療改革の推進

特に、「精神保健医療改革の推進」においては、「質の高い医療提供体制づくりを進める」というサブタイトルが付され、質的向上が掲げられています。また、自殺対策の推進にあたっては、うつ病などの精神疾患を抱えた人が適切な医療を受けられる体制を整備することが必要不可欠との前提に立ち、質的向上は自殺対策において極めて重要との認識を示しています。

まず、認知行動療法の普及など、うつ病対策の充実が謳われています。認知行動療法については、医師を対象とした新たな研修の実施が盛り込まれています。また、うつ病の早期発見を促進するための「かかりつけ医うつ病対応力向上研修事業」の対象に小児科医を追加し、子供の心の病に対応できる医師の養成を図るとしています。

このほか、救命救急センターにおける精神科医によるリエゾン診療の普及や、精神科・心療内科への通院を途中でやめた患者へのフォロー、アウトリーチ(訪問支援)の充実、医師・看護師・精神保健福祉士臨床心理士など多職種の参画によるチーム医療の推進が謳われています。

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