ストレスに応答する脳内分子発見

ストレスに応答する脳内分子発見

群馬大学は2010年8月4日付プレスリリースで、ストレスに応答する新たな脳内分子「SIRPα」を発見したと発表しています。大阪大学、神戸大学、藤田保健衛生大学との共同研究による成果です。

今回、足が着かないほど水を張った水槽にマウスを入れ、強いストレスをかけた環境で実験が重ねられています。マウスは水への恐怖で水槽から逃げ出そうと激しく暴れますが、やがて不可能だと知ると暴れるのを止め、動きを完全に止めます。今回の研究では、動きを止める状態を一種の絶望状態と捉え、この時間の長短を人間でいう「うつ状態」の指標としています。

この実験では、脳内に存在するSIRPαの「リン酸化」が確認されています。また、ストレスへの応答を担う海馬や扁桃体といった脳の領域では、SIRPαが一層強くリン酸化されていることも確認されています。ちなみに、リン酸化とは、キナーゼという酵素によってタンパク質にリン酸が付く反応をいいます。

さらに、SIRPαの機能を失わせたマウスでは、動きを止める時間が長くなるなど、うつ状態を示すことが確認されています。

これらの結果は、脳内のSIRPαが、ストレスに応答してうつ状態にならないように脳を守る分子である可能性を示唆しています。

脳のストレスへの応答メカニズムが解明され、うつ病などの気分障害やストレス性疾患の原因解明につながる可能性があることから、今後の研究の進展に期待が寄せられています。また、SIRPαの機能をコントロールする化合物が創出できれば、既存の薬とは全く作用メカニズムを異にする治療薬の開発につながるとの期待も寄せられています。

なお、研究チームでは、既にヒトSIRPαに個人差があることを発見しており、遺伝子の違いがストレス感受性の個人差を生み出す可能性にも着目しています。

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