PTSDになりやすい救援者

科学技術振興機構、国立病院機構災害医療センター、国立精神・神経医療研究センターは2012年4月26日付プレスリリースで、東日本大震災の被災地へ派遣された災害派遣医療チームの隊員のうち、どのような人に心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状が強く見られるかを明らかにしたと発表しています。

研究グループは、2011年4月に初回調査として、被災地で活動した災害派遣医療チームの隊員254人を対象に、活動内容や救援活動でどのような苦痛を感じたかなどについてアンケート調査を実施。

その後、2011年7月〜8月に追跡調査として、254人のうち173人を対象に、米国で開発された「IES−R」とよばれる、PTSDの診断基準である再体験、回避、覚醒亢進の三大症状22項目から構成される自己記入式質問紙を用いたアンケート調査を実施しています。

これらの調査の結果から、次のような人にPTSDの症状が強く見られることが明らかになっています。
  • 救援活動直後の精神的苦痛が大きかった人
  • 震災関連のテレビの視聴時間が長かった人

精神的苦痛については、特に「感情的になった自分を恥じた」「感情的に取り乱しそうになった」という項目が、また、テレビの視聴時間については、「4時間以上(日)」という項目が、それぞれPTSDとの関連性が高いことが示されています。

災害発生時には、被災者だけでなく救援者もPTSDを発症する危険性が高くなりますが、救援者に関して、どのような苦痛を感じた人がPTSDを発症しやすいかは、これまではっきり分かっていなかったといいます。

今回の研究成果は、災害後にPTSD症状が強く現れる危険性が高い救援者の早期発見や、災害後のPTSD予防策の構築に寄与するものと期待されています。

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(2012年5月6日掲載)
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