生体イメージング、うつ病診断に応用期待

理化学研究所は2016年8月30日付プレスリリースで、陽電子放射断層画像法(PET)を用いて、神経新生(神経細胞が新たに生まれること)の生体イメージング(生きたままの状態で体内の分子の動きを見ること)に成功したと発表しています。

神経新生は、従来、主に胎生期から幼年期にみられ、成体の脳では新たな神経細胞は産生されないと考えられてきましたが、近年の研究により、海馬など限られた脳領域では一生涯にわたり神経新生が起こることが明らかにされています。また、うつ病などの精神疾患において、海馬での神経新生が低下する一方、抗うつ薬(SSRIなど)の投与により神経新生が回復することが知られています。

研究チームは今回、神経新生を検出するための薬剤(フルオロチミジン)を脳内に効率よく到達させるための薬剤を突き止め、この両方の薬剤を正常ラットとうつ病モデルラットに投与しています。

その結果、うつ病モデルラットでは、海馬へのフルオロチミジンの集積が低下していること、また、SSRIを投与すると海馬へのフルオロチミジンの集積が正常レベルまで回復することが明らかになっています。

今回の研究結果は、PETを用いた神経新生の生体イメージングが、うつ病の診断や、抗うつ薬の治療効果の判定の指標として活用できることを示しているものといえます。

【出典】
プレスリリース

◇雑感
生体イメージングはバイオイメージングとも呼ばれ、生命科学領域の研究分野では極めて有用で、今や必要不可欠な技術になっているという。見えないものだから、どうしても見たくなる。この人間の習性が、科学技術の進歩に一役買っているのかもしれない。

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(2016年10月3日掲載)
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