自閉症の根本治療へ前進

東京薬科大学は2016年10月7日付プレスリリースで、「CAMDI」と呼ばれる遺伝子が欠損すると、自閉症様の行動を示すことをマウスを使った実験で明らかにしたと発表しています。

CAMDIは、発達障害や精神疾患との関連が近年指摘されている遺伝子で、研究グループは今回、このCAMDIを欠損させたモデルマウスを作製し、解析を行っています。

その結果、大脳皮質における神経細胞の移動に遅延が起き、多動、繰り返し行動、新しい環境への適応不全など典型的な自閉症様の行動が観察されたといいます。ちなみに、神経細胞は大脳皮質の奥で産み出されますが、その後表層へ向かって正しい位置まで移動し、これにより正常に機能することが分かっています。

また、研究グループは、CAMDIが「HDAC6」と呼ばれる酵素を過剰に活性化させていることを突き止め、モデルマウスの胎生期にHDAC6の阻害薬(皮膚T細胞性リンパ腫の治療薬)を投与したところ、神経細胞の移動が正常化し、自閉症様行動も劇的に治まったといいます。

今回の研究成果は、自閉症の根本的な治療につながるものといえます。

【出典】
プレスリリース(PDF)

◇雑感
栗原類さんが新著「発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由」を発表した。彼が発達障害を告白したのが1年半前。発達障害への理解を広めた立役者の一人かもしれない。ただ、米国に40年は遅れるというその支援体制。治療分野では先頭を走りたい。

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(2016年10月27日掲載)
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