潜在的睡眠不足が心身を蝕む

国立精神・神経医療研究センターは2016年10月26日付プレスリリースで、現代人の多くに自覚していない睡眠不足が存在すること、およびその危険性を明らかにしたことを発表しています。

睡眠不足が生活習慣病やうつ病などさまざまな健康リスクを高めることは知られていますが、個人の睡眠不足度を定量評価して健康への影響を調べた実証研究はこれまでほとんど行われていなかったといいます。

研究グループは今回、日常生活で睡眠不足を自覚していない健康な成人男性15名を被験者とし、9日間にわたり、特殊な実験室内で就床時間を12時間とした睡眠を充足させる実験(二度寝を含め、これ以上眠ることができないという状態まで眠る実験)を実施しています。

そして、実験期間中の睡眠時間の変動曲線から各被験者の必要睡眠時間を個別に算出したところ、平均8時間25分となり、自宅での習慣的な睡眠時間よりも1日当たり平均1時間短いことが明らかになっています。

また、被験者の内分泌機能を調べたところ、空腹時血糖値の低下や、細胞代謝に関わる甲状腺刺激ホルモンの上昇、ストレスホルモンである副腎皮質刺激ホルモンやコルチゾール濃度の低下など、その改善がみられたといいます。

睡眠不足の自覚症状がない場合であっても、潜在的な睡眠不足により健康を害する恐れがあることが今回の研究で明らかとなり、今後、中長期的な健康リスク要因として留意する必要があると考えられます。

【出典】
プレスリリース

◇雑感
日本人の睡眠時間は世界的に見ても短く、一貫して減り続けている。先頃WHOが発表した2016年版「世界保健統計」によると、日本が長寿世界一を堅守した。20年以上にわたる最長寿国の座、やがて明け渡さなければならない日が来るのかもしれない。

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(2016年11月29日掲載)
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