ケトン体の一種に抗うつ作用

鳥取大学は2017年8月24日付プレスリリースで、人の体内で作られる「βヒドロキシ酪酸」(以下、BHB)に抗うつ作用があることを明らかにしたと発表しています。

BHBは、糖分が不足した際に体内で作られる物質(ケトン体)の一種。飢餓や糖尿病などの場合に肝臓において多量のケトン体が産生されることが知られており、近年の研究では、BHBに炎症を抑える作用があることが分かっています。

今回の研究では、慢性ストレスによるうつ病モデルラットを用いて、繰り返しBHBを投与し行動を観察したところ、BHBを投与したラットは抑うつ的な行動が減弱することが見出されています。

さらに、急性のストレスを与えると、脳内の海馬において炎症性物質(インターロイキン)が増加しましたが、事前にBHBを投与することで、インターロイキンの増加が抑えられることが見出されています。

脳の炎症がうつ病と関わっていることを示唆する多くの研究がありますが、今回の研究もそれを示唆するものであり、炎症性物質を抑える薬物療法が、今後、うつ病の新たな有効な治療法となる可能性があります。

◇雑感
近年提唱されている“うつ病炎症仮説”を今回の研究も支持するものとなった。リウマチの治療薬がうつ病に効く可能性を示唆する最近の研究もある。いよいよ“仮説”が定説となるか。ひょっとすると、うつ病治療のパラダイムシフトが起こるかもしれない。

【出典】
鳥取大学 プレスリリース

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(2017年10月9日掲載)
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