うつ病と躁うつ病、前頭葉体積に違い

山口大学、国立精神・神経医療研究センターは2017年11月30日付プレスリリースで、うつ病双極性障害(躁うつ病)の患者の脳を比較したところ、前頭葉の2つの部位が、うつ病患者よりも双極性障害患者の方が小さいことを見出したと発表しています。

今回の研究では、うつ病患者(596人)、うつ状態の双極性障害患者(158人)、健常者(777人)の被験者を対象に、日常の診療で使用するMRIを用いて、脳のさまざまな部位の体積が測定されています。

そのデータの解析の結果、双極性障害群では、うつ病群と比べ、前頭葉のうち左右の前頭前皮質と前帯状皮質と呼ばれる、感情や思考に深く関係する部位の体積が小さいことが見出されています。

また、うつ病群では双極性障害群と比べ小さい部位はなく、さらに、健常群との比較では、うつ病/双極性障害群ともに、右側の前帯状皮質と広い範囲の前頭前皮質が小さいことが見出されています。

今回の研究成果が、今後、うつ病と双極性障害の判別だけでなく、今回見出された部位の異常をターゲットとする新たな治療法の開発につながることが期待されます。

【出典】
国立精神・神経医療研究センター プレスリリース

◇雑感
同じうつ状態を示すうつ病と躁うつ病の鑑別診断。その後の治療にも影響することから大変重要であるが、一方で難しいともされてきた。特に軽躁状態は、患者本人にとって“調子が良い”状態だからか。病識のない場合には、客観的なデータしか説得力を持ち得ないのかもしれない。

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(2017年12月27日掲載)
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