飲酒量低減薬「セリンクロ」承認

大塚製薬は2019年1月8日付プレスリリースで、アルコール依存症患者における飲酒量の低減を効能・効果とする「セリンクロ錠」(一般名:ナルメフェン塩酸塩水和物)について、国内における製造販売承認を取得したと発表しています。

「セリンクロ錠」は国内初となる飲酒量低減薬で、飲酒する1〜2時間前に本剤を服用(ただし、1日1回まで)することにより、中枢神経系に広く存在するオピオイド受容体調節作用を介して飲酒欲求が抑えられ、アルコール依存症患者の飲酒量の低減が期待できるといいます。

なお、「セリンクロ錠」を使用するにあたり、次の6つの事項が注意事項として掲げられています。
  1. アルコール依存症の治療目標は、原則、断酒の達成とその継続である。アルコール依存症に伴う精神・身体症状及び患者の意思を総合的に勘案し、断酒ではなく飲酒量低減を治療目標とすることが適切と判断された患者に対して本剤を投与すること。
  2. アルコール依存症治療の主体は心理社会的治療であることから、服薬遵守及び飲酒量の低減を目的とした心理社会的治療と併用すること。
  3. アルコール依存症の診断は、国際疾病分類等の適切な診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与すること。
  4. 習慣的に多量飲酒が認められる患者に使用すること。その目安は、純アルコールとして1日平均男性60g超、女性40g超の飲酒量とすること。
  5. 緊急の治療を要するアルコール離脱症状(幻覚、痙攣、振戦せん妄等)を呈している患者では、離脱症状に対する治療が終了してから使用すること。
  6. 飲酒量低減治療の意思のある患者にのみ使用すること。

既に国内でも抗酒薬(服用後に飲酒すると不快な症状を引き起こし飲酒欲求を間接的に抑える薬剤)や断酒補助薬(過剰な飲酒欲求そのものを直接的に抑える薬剤)が販売されていますが、多量な飲酒を繰り返すアルコール依存症患者が飲酒量を減らしていく過程を補助する薬剤はこれまでありませんでした。

「セリンクロ錠」の主な副作用は、悪心、浮動性めまい、傾眠、頭痛、嘔吐、不眠症、倦怠感とされています。

【出典】
大塚製薬 プレスリリース

◇雑感
「断酒」を目的とする治療薬に加えて、今回「減酒」を目的とする治療薬が登場した。アルコール依存症の場合、たとえ治療を開始しても1年後の断酒率が3割程度に留まるという。大好きなお酒との付き合いを断つことなく治療ができるなら、受診率向上も期待できるかもしれない。

【追記】
大塚製薬は2019年3月5日付プレスリリースで、アルコール依存症患者における飲酒量を低減を効能・効果とする「セリンクロ錠」について、同日より全国の医療機関向けに発売したことを発表しています。
[出典]
大塚製薬 プレスリリース

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(2019年3月6日更新)
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