話しが聴けない上司はダメ上司
- 上司としての権威を振りかざして、部下に指示命令する。
- 部下の声には耳を貸さず、何かといえばすぐ説教口調になる。
- 部下が思うように仕事ができないと激しく叱責し、上司としての責任は認めない。
まさに、私の元上司がそうでした。
これほど極端な上司は少ないと思いますが、このような傾向が強い上司だと、部下はついて行かないばかりか、それだけ、仕事そのものへの気力を失わせます。
上司に対して自分を素直に表現することはなくなり、ただ叱責されたり長い説教をくらわずに済むように「良い子」の振る舞いになっていきます。
自分の感情を抑えつけることが多くなり、抑うつ傾向が高まる可能性もあります。
一方、部下の気持ちになって話しをじっくり聴く上司、部下を信頼し受け入れてくれる上司のもとでは、部下も上司を信頼し、自分の感情を素直に上司に表現できます。
業務上の問題が起こったときだけでなく、トラブルが起こりそうな予感がしたとき、自分の体調がすぐれないといったときも、気軽に上司に相談できるのではないでしょうか。
上司のこうした「懐の深さ」は、部下の心の病を未然に防ぐ効果があるだけでなく、仕事そのものをスムーズにしたり、部下の能力発揮に対しても効果が高いと思います。
このように、部下の話しをじっくり聴くという姿勢は、上司が身に付けるべきマネジメント能力の一番の基本となると私は考えています。
最近、部下の育成の技術として注目されるコーチングでも、一番の基本は「話しを聴く」ことであるとされています。
相手が何を望んでいるのか、今後はどうしたいのか、具体的な目標設定についてはどう思っているのか、その上での課題は何だろうか・・・。
こうしたことをじっくり相手の立場で聴いていくことで、部下は自分で考えをまとめ、自分で目標設定を行うことができると思うのです。
また、このようなところから、上司と部下との信頼関係も築かれていくのではないかと思います。
上司から強制された(ように感じる)、自分が納得できない仕事では、いくら仕事とはいっても実力は充分に発揮できません。
そればかりか、上司に対して不信感を抱くことが多くなります。
今日のように変化のスピードが極めて速く、商品の種類や個々人の好みが多様化しているなかでは、上司が部下に指示命令したことを実現していくだけで業績を上げることは、極めて難しいと私は考えています。
なるべく、部下自身が状況を自主的に判断し、自分自身で決めた目標を達成していくようになるのが最も理想的であるとともに、そういう雰囲気にもっていくことが上司の最も重要な役割のひとつだといえます。
こうしたことを可能にしていくコミュニケーション技術がコーチングであり、現在では、企業研修でも人気を集めています。
(2008年4月10日掲載)
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