集団療法で自己分析
集団療法で自己分析
【2006年1月25日付読売新聞より抜粋・引用】
心癒し うつ病症状 うつ病治療
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【2006年1月25日付読売新聞より抜粋・引用】
◆浮かび上がる成果主義の影
「高校のころは物理学者になりたかった。物事の道理を追求したかった」
うつ病の患者4人が1グループとなり、診察室の四隅に置かれたいすに腰掛けて各自の「過去」を語り合った。
福岡県筑紫野市の心療内科・精神科医院「スタジオ リカ クリニック」では、復職支援を目的とする「集団精神療法」を2005年3月から行っている。
週1回、テーマを決め、精神科医やソーシャルワーカーが進行するフリーディスカッション。参加者は働き盛りの30〜40歳代の男性で、2005年5月に終了した第1グループのメンバーは、全員が何らかの形で復職を果たした。
第2グループは、この日が5回目。テーマは、「仕事を決めた動機と、子供のころなりたかったもの」だ。仕事の話は、そのままそれぞれの経歴に重なった。
「人生初めてのドロップアウトで、自信喪失していた。人の話を聞くと、仕事は違ってもストレスの原因は共通していることがわかった。病気の背景も見えてきた」。休職中の男性(38)は淡々と語った。
国立大の理学部物理学科を卒業後、大手の精密機械メーカーの研究所に勤務していた。2005年、睡眠障害、食欲減退、注意力が散漫になるなどの症状が出た。ディスカッションで浮かび上がった背景は、会社が導入した「成果主義」だった。「知らないうちに成果にこだわりながら、成果を出す自信がなく、焦り苦しんでいた」と自己分析する。
「この中で、おれが一番悲惨な人生を歩んできたなあ」。中年の男性が笑顔を交えて話し始めると、場は和やかになった。
男性はコンピューター関連会社の社員だった20歳代のころ、午前7時20分には出社、職場の電気が消える午後11時まで働いた。次々と実績を挙げ、35歳で課長に昇進。幹部候補だった。
体調に変化が起きたのは、会社がグループ企業内での合併を決めた時。合併相手から求められた債権回収という慣れない仕事を始めて不眠が続き、半年間の休職。この間に妻とは離婚した。復職後はアルコール依存症で入院、結局、これまでのやり方が通用しなくなった合併後の会社にもなじめず、退職した。
多くのうつ病患者は、「自分は社会から脱落した」という劣等感などで強烈な孤独感にさいなまれる。集団精神療法は、そうした孤独感を和らげるのに有効とされる。
この男性も「同じ悩みで苦しんでいる人たちだから、自分をさらけ出せ、勇気づけられる」と受け止めている。今は「福祉分野など人に喜ばれる仕事がしたい」と新たな目標を持つ。
メンバーの目標は、「復職」と「その後も再発しないこと」。同クリニックの精神科医・田中理香さん(44)は「そのためには、暗い過去や認めたくない部分も受け入れ、自分の心の問題点を客観的に認識することが必要」と説明する。
企業は厳しい競争にさらされ、リストラや合併、成果主義の導入が進み、職場の重圧が高まっている。男性2人の病んだ心の背後にも、こうした要因が見え隠れする。
「組織の価値観で自分の価値まで決めてしまい、追い込まれている。『自分を守る』という意識が低いため、そのことに気付きにくい」と田中さん。だが、「うつ病を克服することは、自分を成長させるチャンスになり得る」ともとらえている。
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