うつ病で休職教師 10年で3倍
うつ病で休職教師 10年で3倍
【2006年2月22日付読売新聞より抜粋・引用】
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【2006年2月22日付読売新聞より抜粋・引用】
◆生活指導・保護者対応 疲れ果て自信失う
うつ病などの精神的な病で休職する教師が増えている。
公立小中高校などの教職員のうち、精神疾患による休職者は年々増加し、2004年度は3,559人と10年間で約3倍になった(文部科学省調べ)。休職には至らない病気休暇(90〜180日間)を含めれば、その数はさらに膨らむ。
福岡県教職員互助会は1996年度、教師への「カウンセリングサービス」を開設。2001年度から利用が増え、内容は「職場の人間関係」や「児童生徒の指導」などが多いという。
「このままでは、自分が壊れてしまうと思った」。数年前、休職に追い込まれた教師歴20年以上の公立小学校の男性教諭は当時を振り返った。
疲労が蓄積していた。「総合的な学習」や研究授業の準備に加え、家庭への連絡や、管理職・教育委員会への報告書類が増え、毎晩11時過ぎまで、自宅で慣れないパソコンのキーをたたいた。
保護者のクレームと、それに過敏反応する管理職の“圧力”ものしかかった。児童に生活態度を注意したところ、保護者から謝罪を求められ、学校も従った。いまだに謝罪の理由が理解できない。「注意もできないなんて。子供にへつらうしかないのか」。指導法への自信やプライドが崩れた。学校へ行けなくなったのはその直後だった。
復帰後も毎月通院し、抗うつ薬を服用している。「自分がやっていることは、教師として正しいのだろうか」と時々不安になる。まだ自信が取り戻せない。
私立学校は少子化で生徒確保の競争にさらされ、職場環境が厳しい。
進学指導は結果がすべて」。年度初め、九州のある私立高校では、校長が3年の学級担任にこう訓示している。翌年4月、国立大と有名私大の合格者数を比較。厳しい数字の学級には、「何が足りなかったのか」を職員会議で分析する。
「進学率が低いとつらいが、学習指導だけに時間をかける状況ではない」と40歳代の男性教諭は漏らす。
「ねえ、ねえ先生」。教師の肩をたたく生徒に、「君と先生は友達じゃないんだ」と声の掛け方から教育。万引き、夜遊びなど問題行動も増加、保護者からは「家では言うことを聞かないので、学校の方でお願いします」と頼まれる。クラスの全生徒45人の行動に目を光らせた。
1人の生徒に割く時間が以前より3倍、4倍に増え、昼休みも生徒との面談に充てた。帰宅後も、「習熟度別授業」の準備に午前2時過ぎまでかかった。
ある日、朝起きると天井が回った。廊下を歩いていると壁にぶつかり、授業中、机に顔を伏せ、同僚とのなにげない会話で涙がこぼれたこともあった。
「こんな状態で授業していたのですか。すぐに入院した方がいい」。受診した心療内科の医師は驚いた。
復帰した今も緊張が緩む週末がきつい。眠くなり、体が重い。
福岡県内の私立中学の男性教諭(38)は「使命感が強く、根がまじめな教師ほど、すべて1人で背負ってしまう」と言う。
福岡県大牟田市の不知火(しらぬい)病院のストレス・ケア・センターではここ数年、うつ病の入院患者の1〜2割を教師が占め、職種別で最多だ。徳永雄一郎院長(57)は「家庭の問題までが学校に持ち込まれ、教師が疲れ果てている」とし、「教師に心の病が増えているのは学校だけの問題でなく、社会全体の問題」と指摘する。
元中学教諭で武蔵野大非常勤講師の河上亮一さん(62)は「親や子供の価値観が大きく変わったのに学校は変わっていない。最も教育困難な時代となり、事態は学校の役割を考え直すところまできている。そのために、まず教師は子供の現状を外部に知らせるべきだ」と提言する。
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