対人恐怖症とは?

対人恐怖症とは、他人といっしょにいる場面で、強い不安と精神的緊張が生じ、そのために、他人に軽蔑されるのではないか、他人に不快な印象を与えているのではないか、他人に嫌われているのではないかなどと心配し、できるだけ対人関係から距離を置こうとする、いわゆる神経症の一類型とされています。

対人恐怖症には、赤面恐怖、視線恐怖自己臭恐怖(じこしゅうきょうふ)、醜形恐怖(しゅうけいきょうふ)、吃音恐怖(きつおんきょうふ)などが含まれます。対人恐怖症の中でも特に多くみられるのが、赤面恐怖です。

赤面恐怖では、人前に出ると不安や緊張により、顔が赤くなることを恐れ、人前に出ることが非常に苦痛となります。自分の顔が赤くなって精神的に混乱していることが他人に気づかれるのを、非常に恥ずかしく感じます。また、赤面することによって、他人に嫌な感じを与えるのではないかと深く悩みます。そうして、自分の顔が赤くなりそうな場面を避けるようになります。

対人恐怖症は、日本の文化に深く結びついた心の病といわれています。実際、日本人は欧米人に比べると、対人恐怖症で悩んでいる人が多いという調査報告があります。

これは、日本においては長い間、人間関係の複雑な機微を重視する社会が続いてきたために、その意識が現代にも息づいていることに関係があるといわれています。日本人のこのような意識に基づいた心情からすると、自由な自己主張はしにくい面があると思われます。

こうした状況の中で、人間関係に過敏に反応してばかりいると、必然的に人の視線や表情、動作に注意が向き過ぎてしまうことになります。そうすると、当然、自分の行動や表情に対しても意識が向きます。

そして、その感情が内側に向かい、それにとらわれると、必要以上に緊張してしまい、顔がこわばったり、言葉がうわずったり、つかえたりするようになります。このほか、対人恐怖症の典型的な症状としては、手の震え、多量の発汗などがあげられます。

対人恐怖症は、自己や物事への執着が強い人に多くみられるといわれています。また、親のしつけや遺伝的な素質の影響もあるといわれています。

これらの要因のほかに、感情の抑圧による心の傷があり、それにこだわると、対人恐怖だけに留まらず、様々な恐怖症強迫性障害の症状が現れてくる可能性が高くなります。また、感情の抑圧は、精神的な症状だけでなく、身体的症状も引き起こします。

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(2008年10月21日掲載)
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