成年後見人の権限

成年後見人には広範な法定代理権や取消権が認められており、本人(成年被後見人)の財産に関する全ての法律行為ができる権限を持っています。

成年被後見人は、精神上の障害により物事の判断能力が全くない状態ですので、成年後見人が本人に代わって全ての法律行為に関与するわけです。

ただし、成年被後見人を保護するために、成年後見人には一定の制限が課せられており、成年被後見人の住居となっている建物や敷地の売却、賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定などの行為をするには、家庭裁判所の許可が必要とされています。

また、民法では、「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」と規定され、成年被後見人本人の意思の尊重や身上の配慮義務が定められています。

これらのほかにも、成年被後見人本人の意思の尊重という観点から、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」については民法上、成年後見人に取消権は認められていません。

たとえば、電気・水道・ガスなどの料金の支払、食料品や衣料品の購入については、成年被後見人が自らした行為であっても、成年後見人は取り消すことができません。

なお、成年後見人には、同意権がありません。なぜなら、成年後見人が成年被後見人に同意を与えて、本人にある行為をさせるということ自体、制度趣旨と相容れないからです。

成年後見人と成年被後見人との間に利益相反の関係がある場合は、特別代理人の選任が必要となります。

(2009年1月11日掲載)
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