高齢者のうつ病:重症化傾向

東京都老人総合研究所は、2009年7月号の「老人研NEWS」で、「高齢者の“心と体”の病気〜うつ病について〜」と題したレポートを発表しています。
(出所:http://www.tmig.or.jp/J_TMIG/books/rj_pdf/rj_no233.pdf)

レポートによると、うつ病は認知症とともに高齢者に多い病気の代表で、国際的な調査では、55歳以上の約10%に軽いうつ病エピソードが見られ、2%弱に重いうつ病エピソードが見られると報告されているようです。

うつ病エピソードとは、「気持ちがふさぎこむ」「何をするにもおっくうになる」「夜、眠れなくなる」「食欲がなくなる」「便秘・肩こりなど体全体がどことなく不調になる」などの症状をいいます。これらの症状が2週間以上続き、日常生活に支障を来すようになると、うつ病の可能性が高いといえます。

うつ病エピソードを反復している高齢者の中には、症状が慢性化し、通常のうつ病治療では回復が難しく、体も衰弱し、うつ病が一層重症化する傾向にあるようです。

SPECTという脳の画像検査を用いた研究では、高齢者のうつ病においては、大脳の前方の領域に血流の低下が認められ、特に、前頭前野や前帯状回という脳の部位の血流低下が、うつ病の慢性化に関連していることが判明したといいます。

うつ病が慢性化し重症化している場合、m−ECT(パルス波型治療器)を用いた治療を実施すると、8割以上でうつ病の症状の改善が認められ、それとともに、大脳の前方領域の血流も改善されることが明らかにされています。

これらの臨床研究における実績から、m−ECTは2002年に薬事法(現在の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)の許可を受け、現在では、全国に普及しているそうです。

ちなみに、うつ病と認知症の関係では、近年、うつ病に罹るとアルツハイマー病の発症リスクが2倍になるという報告がされているようです。

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(2014年11月27日更新)
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