心を癒す「アラキドン酸」

アラキドン酸は、多価不飽和脂肪酸の一種で、人間をはじめ哺乳類にとって必須脂肪酸(体内では合成することができないため摂取する必要がある脂肪酸をいいます)と考えられています。

アラキドン酸は、肉類(特にレバー)、卵、魚介類に多く含まれ、人間の体内では、細胞膜を構成する主要な成分の一つで、脳をはじめ、肝臓や皮膚など多くの組織に存在しています。

このアラキドン酸について、大変興味深い研究結果が報告されています。

科学技術振興機構、東北大学大学院医学系研究科、理化学研究所は2009年4月8日付プレスリリースで、アラキドン酸に、神経新生(脳細胞の元になる神経幹細胞が分裂して脳内ネットワークに不可欠なニューロン細胞などに変化するプロセスをいいます)を促進し、統合失調症など精神疾患の症状を改善する効果があることをラットを用いた実験で発見したと発表しています。

統合失調症などの精神疾患では、驚愕音など突然の刺激に対する抑制作用(これをプレパルス抑制といいます)が弱まっていることが明らかにされており、今回の研究ではこの点に着目し、神経新生を低下させたラットを用いた実験において、神経新生とプレパルス抑制との相関関係が認められたといいます。

また、従来の研究で多価不飽和脂肪酸が神経新生に関係しているとされていたことから、多価不飽和脂肪酸の一種であるアラキドン酸に神経新生を向上させる効果があるとの仮説を立てて検証したところ、アラキドン酸を含む餌を与えたラットにおいて、約30%神経新生が向上していたことが判明したそうです。

アラキドン酸はこのようなことから、精神疾患の予防や治療に役立つのではないかと期待されています。

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(2009年9月4日掲載)
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