復職可否の判断基準と解雇

うつ病労災と認定されない場合の休職(私傷病休職)においては、多くの会社の就業規則で、私傷病休職期間(1か月から1年程度と会社によるばらつきがあります)が満了しても休職事由が消滅せず(うつ病が治癒せず)、就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって解雇とする定めがあります。

これは、労働者にとっては重大な問題で、うつ病が治癒しない場合、職を失うことになるからです。また、復職が可能かどうかの判断で、会社との間でトラブルになることが多いからです。

古い裁判例では、「従前の業務を通常の程度に行える健康状態に復したとき」(昭和電工事件での1975(昭和50)年5月31日千葉地裁判決)といった、労働者にとっては酷な判断基準を示したものがありますが、近年では、会社に対して復職への配慮を求める裁判例が出てきています。

近年の裁判例では、プログラマーが自律神経失調症とクッシング症候群(クッシング症候群とは、ストレスなどにより副腎という内分泌腺からコルチゾールというストレスホルモンが過剰に分泌されることで起こる疾患の総称をいい、うつ状態を起こしやすく、不安や焦燥感を伴うことが多いとされています)により休職したキャノンソフト情報システム事件での2008(平成20)年1月25日大阪地裁判決があります。

大阪地裁の判決では、当初の開発部門で従前のように就労することが困難であれば、しばらくは負担軽減措置などの配慮をすることも会社の規模からして不可能ではないとし、残業が少ないサポート部門に配転することも可能であったはずで、休職期間の満了をもって行った解雇を無効としています。

裁判例としては、争われた個々のケースで結論が分かれていますが、一般的には、私傷病休職期間満了後の解雇が有効とされるには、客観的な合理的理由と社会通念上の相当性が必要で、これらの事由が認められない場合は、会社側の権利の濫用として、解雇は無効とされています。

(2010年2月16日掲載)
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