統合失調症に脳内免疫系が関与

放射線医学総合研究所(放医研)は2010年3月31日付プレスリリースで、統合失調症の発症に脳内の免疫系が関与している可能性があることを発表しています。

統合失調症の原因としては従来、ドーパミンの神経伝達障害(ドーパミン仮説)が主に唱えられてきましたが、このドーパミン仮説のほか、脳内の炎症反応や免疫系の変化も統合失調症の原因となり得るとする仮説が出されています。

放医研は今回、統合失調症患者の大脳皮質をPETを用いて分析したところ、脳内の免疫防御を担っている細胞(ミクログリア)の活性化の度合いが、幻覚や妄想といった統合失調症の陽性症状や罹患期間と相関することを世界で初めて明らかにしたといいます。

今回の結果は、脳内の免疫系が統合失調症の発症に関与している可能性を示すもので、統合失調症の原因解明や治療法の開発に貢献するものと期待されています。

放医研では今後も、分子イメージングを用いて、精神疾患の原因解明や治療法の開発に貢献していきたいとしています。

※分子イメージングとは?
分子イメージングとは、生体内で起こる様々な生命現象を外部から分子レベルで捉えて画像化する技術をいいます。生命科学の研究分野において、近年注目を集めている技術です。

分子イメージングは、生体内の生命現象を分子レベルで、かつ対象が生きたままの状態で調べることができる点が最大の特長です。

がんのほか、うつ病や統合失調症などの脳の病気の解明・治療法確立の技術として、分子イメージングには大きな期待が寄せられています。

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(2010年4月2日掲載)
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