病気なのか性格なのか
うつ病の症状の一つとして、口数が減ることがあります。極端な場合は、無口になります。もともとお喋りな人が、急に口数が少なくなり、または無口になった場合、周囲も何かおかしいと感じるでしょう。しかし、もともと口数が少ない人が、さらに少なくなったり、無口になった場合、異常性をそこに感じるかは、大変微妙です。
つまり、病気の症状と性格（個性）は、区別がつきにくい場合があるということです。統合失調症の陽性症状のような、本来ないはずのものが見えたり（幻視）、聞こえたり（幻聴）すれば、疑問をはさむ余地がないといえますが、病気の症状と性格が連続性をもって捉えられる（スペクトルをなすといいます）場合は、基準をどこに置くかで結論が変わります。
病気か性格か、言い換えると、異常か正常かの判断には通常、疾患概念、平均、価値の３つが基準として用いられます。
疾患概念を基準とした判断とは、まず陽性症状や陰性症状を持つ病気として統合失調症を定義し、それに基づき概念的に異常か正常かを判断しようとするものです。
しかし、疾患概念が十分に精細ではないため、先の口数が少ない人の例のように、お喋りから無口といったスペクトルをなしている場合には、判断が非常に困難となります。そこで、平均や価値を基準とした判断がされることになりますが、これにも問題があります。
平均基準については、何らかの平均値を想定し基準として用いるとしても、その基準が平均基準なのか疾患概念基準なのか時として混乱し、診断にばらつきが生じやすいこと。価値基準については、社会生活上プラスに作用する（価値のある）、たとえば自信といったものが治療対象から除外されやすいこと。こういった問題があります。
病気か性格かについては、判断基準のほかにも問題が残されています。それは、性格だとみなすとして、それをそのままにして置いて良いかという問題です。良いのだと、明確になかなか言えない点が、問題であるともいえます。
＜関連記事＞
・個性（自分らしさ）とは何か
・アイデンティティとは？
（2010年6月1日掲載）
つまり、病気の症状と性格（個性）は、区別がつきにくい場合があるということです。統合失調症の陽性症状のような、本来ないはずのものが見えたり（幻視）、聞こえたり（幻聴）すれば、疑問をはさむ余地がないといえますが、病気の症状と性格が連続性をもって捉えられる（スペクトルをなすといいます）場合は、基準をどこに置くかで結論が変わります。
病気か性格か、言い換えると、異常か正常かの判断には通常、疾患概念、平均、価値の３つが基準として用いられます。
疾患概念を基準とした判断とは、まず陽性症状や陰性症状を持つ病気として統合失調症を定義し、それに基づき概念的に異常か正常かを判断しようとするものです。
しかし、疾患概念が十分に精細ではないため、先の口数が少ない人の例のように、お喋りから無口といったスペクトルをなしている場合には、判断が非常に困難となります。そこで、平均や価値を基準とした判断がされることになりますが、これにも問題があります。
平均基準については、何らかの平均値を想定し基準として用いるとしても、その基準が平均基準なのか疾患概念基準なのか時として混乱し、診断にばらつきが生じやすいこと。価値基準については、社会生活上プラスに作用する（価値のある）、たとえば自信といったものが治療対象から除外されやすいこと。こういった問題があります。
病気か性格かについては、判断基準のほかにも問題が残されています。それは、性格だとみなすとして、それをそのままにして置いて良いかという問題です。良いのだと、明確になかなか言えない点が、問題であるともいえます。
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（2010年6月1日掲載）
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