認知療法・認知行動療法に健康保険適用

厚生労働省が2010年3月5日付で発表した「平成22年度診療報酬改定について」(平成22年厚生労働省告示第69号診療報酬の算定方法の一部を改正する件)によると、認知療法認知行動療法うつ病に対する効果が明らかにされていることを受け、精神科専門療法の部に「認知療法・認知行動療法」の区分が新設され、2010年4月より健康保険が適用可能になっています。

既に発表されている中央社会保険医療協議会の第168回および第169回の総会資料と合わせて整理すると、認知療法・認知行動療法について保険診療が認められる条件は、次のようになります。

  1. うつ病など気分障害の患者を対象とすること
  2. 認知療法・認知行動療法に習熟した医師が治療に関する計画を作成し、患者に詳細な説明を行うこと
  3. 診療に要した時間が30分を超えること
  4. 一連の治療につき16回を限度とすること
  5. 厚生労働省作成のマニュアルに準じて行うこと

保険診療の評価は1回420点と設定されていますので、診療報酬額は4,200円となり、3割とすると1,260円が自己負担となります。なお、精神科を標榜しない保険医療機関が行う場合でも、保険診療が認められています。

今回の改定により、保険診療が認められる精神療法の幅が広がったことになります。一方、医療関係者を含め専門家の間からは、厚生労働省のマニュアルどおりに実施できるスキルを持った医師が少ない、診療報酬が低く経済的に合わないなどの理由により、実際に保険診療を行う医療機関は極僅かであろうという推測も出されています。

ちなみに、従来から、「通院・在宅精神療法」が保険診療として認められていますが、精神科を標榜する保険医療機関において行われ、かつ精神保健指定医またはこれに準ずる者が行うという条件が付けられています。

また、精神科を標榜しない保険医療機関が行う精神療法で、従来から保険診療が認められているものは、「(標準型)精神分析療法」一つのみです。精神分析療法の場合、精神保健指定医等だけでなく、この療法に習熟した医師であれば保険診療が認められます。

(2010年5月14日掲載)
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