抗うつ薬SSRIが脳を幼若化

科学技術振興機構と日本医科大学は2010年4月20日付プレスリリースで、抗うつ薬SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の長期投与により、脳内の成熟型神経細胞が幼若型神経細胞に変化することをマウスを使った実験で発見したと発表しています。

これまで、抗うつ薬の作用には、神経細胞が生まれ続ける海馬が深く関っていると推測されていましたが、詳しいメカニズムは明らかにされていませんでした。

研究チームでは、マウスにSSRIを1か月間投与し、海馬の神経細胞の変化に注目。その結果、SSRIの投与によって、それまで成熟細胞として働いていた神経細胞が幼若細胞と同様に機能することを突き止めています。これは、SSRIにより神経新生が活発になり、新しく生まれた幼若型神経細胞が成熟型神経細胞と置き換わったためではないかと考えられています。

今回の研究成果は、抗うつ薬の治療効果や副作用のメカニズム解明を前進させ、より安全なうつ病の治療法開発に貢献するものと高く評価されています。また、神経の発達障害や加齢に伴う神経機能不全の治療法開発にもつながるものとして、大きな期待が寄せられています。

一方、成熟とともに獲得した機能が失われ、機能不全を引き起こす可能性もあるとの慎重な意見も出されています。

ちなみに、今回の研究で用いられたSSRIは、国内では現在未承認の「プロザック」(一般名:フルオキセチン)です。

(2010年7月11日掲載)
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