TEACCH(ティーチ)とは?

TEACCH(ティーチ)とは、「Treatment and Education of Autistic and related Communication-handicapped CHildren」の頭文字を取ったもので、日本語では「自閉症および関連するコミュニケーション障害の子供への対応と教育」などと訳されています。

TEACCHの創設者は、米ノースカロライナ大学の故エリック・ショプラー博士。1966年、ノースカロライナ大学医学部精神科の一部門として設置されたTEACCH部に端を発します。

TEACCHでは、自閉症の子供は発達が遅れたり劣っているのではなく、発達の様相が通常児と異なるに過ぎないと捉えています。また、治療的な修正を目指すのではなく、自閉症の子供が自閉症を抱えたままで、自立して共生・共働していくことを目指しています。

TEACCHの最終目標は、一般社会での共生・共働です。そのために、自閉症の子供のの自立を支援し促していきます。自閉症を器質的障害と認識したうえで、その器質的障害の特性と一般社会で適応するために求められる機能とのギャップを、どう具体的に埋めていくか。TEACCHの特長は、このアプローチ方法にあります。

アプローチ方法の一つに、「構造化」があります。

障害の重い自閉症の子供ほど、自分が今何をすればよいか分からなくなる場合が多く、容易に混乱し、不安に襲われます。このような子供に対して自由に振る舞えと言うのは、混乱と不安を激しくさせるだけです。自閉症の子供にとって、自由ほど辛いものはないのです。

そこで、まず生活の場において、ここは勉強や作業をする場所(ワーク・エリア)、ここは遊ぶ場所(プレイ・エリア)といったように、つい立を置いたり、カーペットの色を変えたりして、視覚的に明確に場所の意味を理解できる環境を作ります。(場所の構造化)

そして、自閉症の子供は、予期しないことに直面すると混乱したり不安を抱きやすいため、1つ1つの行動を文字や絵で1枚1枚のカードに表し、子供一人一人に合わせた時間割表にそのカードを貼り付け壁などに掲げます。(時間の構造化)

子供は、時間が来たらカードを1枚手に取り、構造化された場所に移動して、勉強などに取り組みます。このように、今どこで何をすればよいかを理解させていきます。

【参考文献】
佐々木正美著
「自閉症児のためのTEACCHハンドブック」(学研)

(2010年11月24日掲載)
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