睡眠障害と悪夢

悪夢（Nightmare）は、不安を伴う夢で、通常は不安とともに眠りから目覚めます。目覚めた後の意識錯乱はなく、夢の内容をすぐに思い出すことができます。

ちなみに、フロイトは、抑圧された願望を夢の中で実現させ、あるいは実現させようとした結果起こる不安が、悪夢の原因であると考えています。

悪夢は、パラソムニア（Parasomnia、睡眠時随伴症）の一つです。パラソムニアとは、睡眠異常や睡眠に伴う異常行動のことで、悪夢のほかに、夜驚症、夢中遊行（夢遊病）、寝言、寝ぼけなどがあります。

悪夢はどの年齢でも起こり得るもので、精神的なストレスや身体的なストレスで悪化しやすいとされています。また、悪夢は、パラソムニアの一つレム睡眠行動障害の前段階で見られることがあるとされています。

なお、レム睡眠行動障害とは、大人になって始まる寝ぼけで、何かに追われたり、襲われたり、喧嘩をしたりするなどの夢でうなされ、これに反応する形で、寝言を言ったり実際に行動してしまう睡眠障害をいいます。

子供の悪夢が睡眠中枢の未成熟が原因で起こることが多いのに対して、大人の悪夢は、外傷的出来事が原因で起こる（外傷性悪夢）ことが多いのが特徴です。外傷性悪夢の事例としては、ベトナム帰還兵が示した例（帰還兵の実に３分の２）が有名です。

（2011年1月15日掲載）