災害時の子供のメンタルヘルス
大地震などの災害は、幼い子供のメンタルヘルスにも大きな影響をもたらします。具体的には、次のような症状を呈する子供は要注意とされています。これらの症状は急性ストレス反応といわれ、長期化する場合は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)である可能性があります。
上記症状に対して、具体的には、次のような対応を取る必要があるとされています。なお、これらの対応は、災害から少なくとも2か月〜半年程度は必要だとされています。
【出典】
「災害派遣医療ケアチーム用簡易マニュアル」
(日本小児精神医学研究会)
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(2011年5月4日掲載)
- 表情が少なく、ぼーっとしていることが多い【感情の麻痺】
- 話をしなくなったり、必要以上に怯えている【過緊張】
- 突然興奮したり、パニック状態になる【フラッシュバック】
- 突然人が変わったようになり、現実にないことを言い出す【解離】
- そわそわして落ち着きがなくなり、少しの刺激でも過敏に強く反応する【易刺激性】
- いらいらしていて暴れたりする【焦燥感、自制困難】
- 吐き気や腹痛、めまい、息苦しさ、頭痛、頻尿、おねしょ、眠れない、体の一部がうまく動かせないなどの症状を強く訴える【症状の身体化】
- 今まで言うことを聞いていた子が、甘えが強くなり、ぐずってわがままを言う。気の強かった子が、急に素直になる【退行、罪悪感や無力感】
上記症状に対して、具体的には、次のような対応を取る必要があるとされています。なお、これらの対応は、災害から少なくとも2か月〜半年程度は必要だとされています。
- 「もう大丈夫」「みんなが守ってあげるからね」と繰り返し安全を強調する。
- できるだけ一人にしないよう配慮する。
- 医療行為だけでなく、痛いところをさするなどの身体ケアを行う。
- 「あなたはちっとも悪くないよ」「今はいろいろできなくても、ちっとも恥ずかしいことじゃないよ」と声を掛け、罪悪感や無力感を払拭する。
- 充分睡眠が取れているか問診し、睡眠環境を整える。不眠が酷かったり、夜驚・夢遊など睡眠時随伴症候があるときには、専門家と連携する。
- 災害体験を無理に話させない。災害を想起させる体験(マスコミのインタビュー、災害映像を繰り返し見る、避難訓練に参加させるなど)を回避するよう配慮する。
- 「悲しい時は泣いていいよ」と勧め、子供の方から災害体験を話して来た時には、黙ってそれを傾聴し、口をはさんだり、遮ったりしない。
- 「がんばれ」「元気にならないとみんな悲しむよ」などと過剰に励ましたり、「命があったからラッキーだったんだよ」「こんなことはなかったと思おう」などと現実を否定・歪曲するような声掛けは慎む。
- 安心して遊ばせる。少し騒がしくても我慢して見守る。
【出典】
「災害派遣医療ケアチーム用簡易マニュアル」
(日本小児精神医学研究会)
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(2011年5月4日掲載)
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