炭酸リチウム:定期的に血液検査を

2012年11月3日付時事通信によると、躁病や躁うつ病(双極性障害)の治療に広く使われている炭酸リチウムを処方されている患者の多くが、血液中のリチウム濃度(血清リチウム濃度)の測定を受けていない可能性があることが、医薬品医療機器総合機構の調査で判明したようです。炭酸リチウムは、有効血中濃度と中毒を生じる血中濃度が近いことから、適切な頻度で血清リチウム濃度をモニタリングする必要がある薬剤。

日本医療データセンターから提供を受けた2005年1月〜2010年12月の診療報酬明細書を機構が調査したところ、炭酸リチウムが処方された2309例のうち1200例(52%)で、血液検査の記録がなかったといいます。

炭酸リチウムについては、厚生労働省が2012年9月25日付通知「「使用上の注意」の改訂について」(薬食安発0925第1号)を発出し、これを受けて添付文書(『リーマス』『リチオマール』など)が次のとおり改訂されています。

■使用上の注意に関する記載の改訂
過量投与による中毒を起こすことがあるので、投与初期又は用量を増量したときには維持量が決まるまでは1週間に1回をめどに、維持量の投与中には2〜3ヵ月に1回をめどに、血清リチウム濃度の測定結果に基づきトラフ値※を評価しながら使用すること。なお、血清リチウム濃度を上昇させる要因(食事及び水分摂取量不足、脱水を起こしやすい状態、非ステロイド性消炎鎮痛剤等の血中濃度上昇を起こす可能性がある薬剤の併用等)や中毒の初期症状が認められる場合には、血清リチウム濃度を測定すること。

※薬物を反復投与したときの定常状態における最低血中薬物濃度のこと。血中濃度の経時的推移の中で、変動の小さい時点であり、血中濃度のモニタリングに適している。一般的に反復投与時の次回投与直前値となる。

■患者及びその家族への注意に関する記載の改訂
患者及びその家族に、本剤投与中に食事及び水分摂取量不足、脱水を起こしやすい状態、非ステロイド性消炎鎮痛剤等を併用する場合等ではリチウム中毒が発現する可能性があることを十分に説明し、中毒の初期症状があらわれた場合には医師の診察を受けるよう、指導すること。

リチウム中毒の具体的な症状は、次のとおりです。
リチウム中毒の初期症状として食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢等の消化器症状、振戦、傾眠、錯乱等の中枢神経症状、運動障害、運動失調等の運動機能症状、発熱、発汗等の全身症状を示すことがあるので、このような症状が認められた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、中毒が進行すると、急性腎不全により電解質異常が発現し、全身けいれん、ミオクローヌス等がみられることがある。

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(2012年11月11日掲載)
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