双極性障害、リチウム治療が第一選択

慶応義塾大学は2020年6月24日付プレスリリースで、双極性障害(躁うつ病)の治療におけるさまざまな場面に最善と考えられる薬物治療について、日本臨床精神神経薬理学会が認定する専門医からの意見を集約し発表しています。

双極性障害の治療は、臨床試験の結果に基づいた診療ガイドラインが国内外で定められているものの、実際の診療場面から得られる見識についてまとめられたものは、これまで発表されていなかったといいます。

また、実際の診療場面で問題になる状況を想定した臨床試験が必ずしも実施されているわけではなく、実際の診療場面と臨床試験とでは少なからず問題設定に乖離があり、診療ガイドラインの提言をそのまま実際の診療に用いることが適切であるかについては、これまで議論があったといいます。

今回の発表によると、気分安定薬の一つである「リチウム」の単独治療や、「リチウム」と抗精神病薬を組み合わせた併用療法が、双極性障害のさまざまな場面で広く第一選択として推奨されることが判明しています。

一方で、抗精神病薬の単独治療や抗うつ薬は、いずれの場面でも第一選択とならず、また、ベンゾジアゼピン系薬剤は頓服での使用や極力短い期間の処方が推奨されることが判明しています。

うつ状態か躁状態かを問わない「リチウム」による治療は、状態に合わせて薬が変わる治療に比べ、服用する患者の混乱の回避にもつながるメリットがあるものといえます。

【出典】
慶応義塾大学 プレスリリース(PDF)

◇雑感
リチウムと聞くとリチウムイオン電池がまず思い浮かぶ。医薬品とはいえ、治療のためとはいえ、リチウムを服用する際は抵抗があるかもしれない。しかし、貧血には鉄、がんにはプラチナ、胃潰瘍には亜鉛やアルミニウムというように、金属含有製剤は既に身近なものになっている。

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(2020年8月19日掲載)
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