微笑みうつ病とは？

正式な医学用語ではありませんが、「微笑みうつ病」とよばれる軽いうつ病が、最近中高年の間で広まっています。

微笑みうつ病は、次のような経過をたどります。

1. いつも張り切って仕事を頑張っていた人が、次第に活気がなくなり、表情もうつろになり、仕事上でのミスも目立つようになる。
2. 当然、周囲もそれに気づくようになりますが、本人は、ミスを指摘されても落ち込んだりせず、何よりも笑みさえ浮かべて謝ったりするので、周囲も何となく手をこまねいている。
3. 欠勤が多くなる。
4. 専門医を受診したところ、うつ病と診断される。

このように、微笑みうつ病は、周囲からは分かりにくいうつ病といえます。

微笑みうつ病は、仕事や人間関係からくるストレスが主な原因で、真面目で責任感が強く、体面を気にして自己犠牲をいとわないタイプがかかりやすいうつ病といわれています。

微笑みうつ病は、悩みがあっても周囲に気づかれないように、ニヤニヤと体裁笑いをして振る舞うのが特徴です。このような状態が続くと、周囲が気づかないうちに心の病が進行してしまうのが、微笑みうつ病の怖いところなのです。

微笑みうつ病は、表面上はうつ病とは見えず、本人がすすんで心療内科などを受診しても、にこやかに振る舞うので、医師さえも診断にとまどうといいます。

その間にも、微笑みの下でうつ病は進行を続けています。最悪の場合、微笑みうつ病が原因で、突然自殺するケースもあります。

微笑みうつ病はもとより、心の病に対処するためには早期発見が非常に重要です。

うつの症状は生活リズムの乱れとして現れやすいので、朝に新聞を読む気がしないといった「朝刊シンドローム」、週末でも出勤していた方が落ち着くといった「休日神経症」などもその例としてあげられます。

また、人間の３大欲求である、睡眠欲・食欲・性欲の減退を感じたら、うつ病の注意信号です。

仕事への根気がなくなった、やる気がしない、などの気分に陥っている人もうつ病の可能性があるので注意が必要です。

微笑みうつ病では、特に職場や家庭での人間関係などで無理をすることから生じやすいので、時には周囲に弱みを見せる心のゆとりと勇気を持つことが大切だと思います。

（2008年4月10日掲載）