うつ病とは？

うつ病は、一言でいうと「心のエネルギーが枯渇する病気」です。

うつ病とは、セロトニンやノルアドレナリンといった脳内の神経伝達物質にトラブルが生じている「脳の病気」をいいます。

うつ病は、うつ状態を基本的な症状とする気分障害（感情障害）で、日常生活に大きな支障をきたします。

うつ病の生涯有病率は、男性で１０％前後、女性で２０％前後と、女性の方が男性の２倍高いといわれています。

うつ病の診断は、日本でよく用いられているＤＳＭという国際的な基準によると、どんなに良い事があっても改善しない嫌な気分（抑うつ気分）、または、興味・喜びの喪失のうち、少なくともどちらかがあることが前提となります。

そして、抑うつ気分と興味・喜びの喪失を含めて、次の症状のうち５つ以上の症状が２週間以上続いていることが、ほぼうつ病診断の決め手となります。

1. ほとんど一日中、ほとんど毎日の抑うつ気分
2. ほとんど一日中、ほとんど毎日の、ほとんどの活動における興味・喜びの喪失
3. 著しい体重の減少・増加、または、ほとんど毎日の食欲の減退・増加
4. ほとんど毎日の不眠または睡眠過多
5. ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止
6. ほとんど毎日の易疲労性（いひろうせい：疲れやすいこと）または気力の減退
7. ほとんど毎日の無価値感または過剰・不適切な罪責感
8. 思考力・集中力の減退または決断困難が、ほとんど毎日認められる
9. 死についての反復思考、特別な計画はないが反復的な自殺念慮・自殺企図、自殺するためのはっきりとした計画

うつ病において現われる具体的な症状としては、次のようなものがあります。

• 朝、新聞を読む気がしなくなった
• 何となく物悲しい
• 今まで好きだった読書やスポーツをしたくなくなった
• 仕事（会社）へ行く気がしない、行ってもすぐ帰りたくなる
• 何に対しても意欲や興味が持てない
• 食欲も性欲もない
• 非常に疲れやすくなった

嫌なことがあれば、誰しも憂うつになりますが、これは病気ではありません。

うつ病と区別する判断のポイントは、「症状の重さ」です。

うつ病になると、仕事や家事などの行動ができなくなるほど気分が落ち込み、極度に悲観的になります。

うつ病になると、すべて自分がいけない、自分はダメ人間と思い込む自己否定の気分が非常に強く、そのことで非常に苦しみます。

また、うつ病になると、気分だけでなく、体調も悪くなります。

うつ病では、特に不眠を伴う場合が非常に多く、単に眠れないというだけでなく、眠っても極端に朝早く目覚めてしまう（早朝覚醒）場合や、夜中に何度も目を覚ましてしまう（中途覚醒）場合があります。

うつ病の最も危険なところは、自殺を考え、自殺を実行することです。

うつ病になると、「自分はダメだ」「みんなに迷惑をかけている」など自罰的になって苦しみ、必ずといっていいほど「死」を考えます。

たとえ、うつ病の症状が軽くて自殺という積極的な死を考えなくても、「癌になって死ねたらどんなに楽だろう。家族も納得するだろうし。」というような消極的な死への願望をどこかに持つのが、うつ病の大きな特徴といえます。

（2008年4月9日掲載）