認知療法とは?

認知療法とは、外的な事象そのものがある感情を直接引き起こすのではなく、そうした事象をどのように認識(認知)するかによって感情は異なるのだ、という観点を基盤とした精神療法です。

認知療法は、物事の見方を検討し、必要であればそれを修正しようとするものです。

うつ病にかかった人は、一面的・悲観的な考え方をする「思考の癖」(生まれ育ってきた歴史の中で、形成され固定化された思考様式をいいます。)があり、それが物事に対する感じ方(感情)に影響を与えてしまう、と認知療法では考えています。

私は、この一面的・悲観的な考え方そのものが、うつ病の症状といえる部分があると思うのと、うつの症状が酷く、疲労困憊した時期に認知療法を実践しても、無力感を味わうだけで終わる危険が非常に高いと思いますので、ある程度気分的に回復し安定する時期まで待って、認知療法に取り組むことをおすすめします。

そうすれば、認知療法は、大変効果の高い精神療法であると私は思っています。

認知療法は、具体的には次の5つの項目を明らかにする作業を通して、「認知の歪み」を修正していきます。

認知療法の実践は、最初はうまくいかないと思いますが、数をこなして慣れてくれば、時間は短縮されます。

  1. 自分が辛いと感じたときの具体的状況
  2. その時の感情や苦しさの程度
  3. その時の考え(思考の癖、自動思考
  4. より現実的で楽になる考え方
  5. これら作業をやった後の気分(苦しさがどの位減ったか)

私が持っている認知療法に関する本では、デビッド・D・バーンズが書いた「いやな気分よ、さようなら」が最も分かりやすく、推薦できる本といえます。



認知療法については、一定の条件を満たす場合、保険診療が認められています。

なお、「認知行動療法」という用語もありますが、これは、認知療法を含む複数の治療法の総称です。認知療法以外にも、社会生活技能訓練(SST:Social Skills Training)などが認知行動療法の中に含まれます。

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(2008年4月10日掲載)
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